本選びは感覚第一

本選びは感覚第一

古本市という言葉を聞くと、とても心がときめきます。なぜかお宝が眠っているような気がするのですよね。色あせた書籍と少し埃っぽい空気に、その本が生きた時代を感じるからかもしれません。もちろん、フリーマーケットの片隅で売られている、数冊の文庫も好きですよ。数が少ないからこそ、何があるのだろうとどきどきします。チェーン店はなんでも揃うから便利ですし、要は私は、本に関わるところならどこに行っても楽しめるのです。
私の友人は、「どんなレストランにも発見がある」と言っていました。彼女は料理を作るのが好きで、少し食べただけで材料や味付けに何を使っているか、まるでクイズのように当ててしまうのです。だから美味しいものを食べた時は当然、いまいちの味でも「こうしてはいけないんだ」と勉強になるのですって。その話を聞いた時、「物事の良しあしを判断するには、基礎的な知識が大事なのか」と納得したのを覚えています。
だからといって、私が古書に関する知識を持ち合わせているわけではありません。ただ今の新刊の中にはないものが、自分の好みや望みに合っているか、敏感に察知しているだけです。その点では彼女の素晴らしい味覚と同じ、感覚が良書を教えてくれるのだと言えるでしょう。

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