いつだったかテレビで、本の上手な保存方法が説明されているのを見たことがあります。光にあてない、湿気に気を付ける、埃を避けるなどは私も知っていましたが、最後に言われていたのは「付箋を使わない」でした。あの糊がページに残るのが、いけないのですって。
だから本当は、図書館で借りてきた本に付箋を貼るのは駄目なのだとか。そういえば、館内でコピーをお願いする時は、ページのところに小さなメモ用紙を挟んで目印にするんですよね。万が一傷んだときの修復も、専用の道具を使うと聞いたことがあります。「セロハンテープで直さずに、破れたまま持ってきてください」と注意されている人もいました。
そう考えると、紙をそのままの状態で保存するのは、非常に大変なことなのですね。それこそ大昔の書籍や絵画が、美術館で薄暗い中、陳列されている理由がやっとわかりました。現代の技術をもってしても、それくらい気を遣わなければ、貴重なものを後世に残していけないということなのでしょう。
そういえば美術品の中には、模写を展示し、現物は表に出さないというものもあるらしいです。それも価値ある物を守るための苦肉の策なのでしょう。写しでも十分美しいのですから、本物はどうなのか……想像をかきたてられますね。
7月29