Monthly Archives: 11月 2014

時のしおり

時のしおり

今日、読書をしていてちょっとだけ気持ちがほっこりするような出来事がありました。
ずいぶん昔に読んで本棚にしまいっぱなしだった小説。久しぶりに読み返そうとそれを本棚から取り出してソファに座って読んでいました。20ページほど読み進めているとページにしおれてしまったピンク色の花びらが1枚はさまっていました。
それを見て、この本を最初に読んだのは公園のベンチだったことお思い出しました。お天気が良くて満開の桜がとてもキレイでした。風はまだ少し冷たかったものの、その時の私はフリースのひざ掛けをして温かい缶コーヒーを飲みながら、お花見客があふれる公園でゆったりと読書を楽しんでいたのです。
偶然その時落ちてきた花びらがはさまったことに気付かず、そのまま読み進めていったのでしょう。時間が経ってそれは押し花となり、時(トキ)のしおりとなっていました。それは、あの時の情景や気持ちをきちんと覚えていて私を懐かしい時間へと案内してくれたのです。
そのしおりはそのままにしておきました。またいつかこの小説を読み返した時にあの時間へと案内してもらおうと思ったからです。もしかしたら今日のこの時間へも案内してくれるかもしれないですね。

好きなものを贈る

好きなものを贈る

もうずいぶん前の話ですがクリスマスのプレゼントに小説をもらったことがあります。
その人と友達になって最初の贈り物でした。まだ私の趣味も好きなものも知らないその人は自分の好きなものを贈ってくれたのです。誰もが聞いたことのあるような有名な作品でもなく、クリスマスに関係した作品でもなく、ただ彼が好きだと思った小説です。それを私も気に入るか・気に入らないか、送り手の彼にとっては冒険ですね。実際、私はこの本をすごく気に入ってその彼とはさらに親しくなりました。ですが、もしも私がこの本を気に入らなかったとしても「自分の好きなものを贈る」という彼の考え方だけで、より彼に好感を持ちました。このプレゼントは「自分はこういったものが好きです。あなたはどうですか?あなたもそう思ってくれれば嬉しいです。」そんなメッセージに思えたからです。
まだまだ知り合ったばかりの私に「自分のことをもっと知ってほしい」「あなたのことも知りたい」「共感したい」という彼からのお手紙をもらった気分でした。
今でもその小説は本としてもお手紙としても私の宝物です。
プレゼント選びに困ったとき、お手紙書いている気分で選ぶと良いものが見つかるかもしれません。