Monthly Archives: 11月 2016

レシピにまつわる母の思い出

レシピにまつわる母の思い出

母が、祖母から譲り受けたというレシピ本のページを繰っていました。もうすっかり古びたそれは、結婚が決まった時に祖母が買い与えてくれたものだそうです。目次には、定番料理が並んでいて、いかにも初心者向けといった内容なのも、納得できます。料理上手の母の起源はここにあるのか、と私は感心しました。
もちろん今、彼女がこの本を見ながら、台所に立つことはありません。家族が好むレシピは、自分なりのアレンジを加えたうえで、すでに頭の中に入っているからです。ちなみに祖母は、働き詰めで、家事は苦手だったのだとか。だから妻となり、いずれは母となる娘に、この本を送ったのですね。
ページをめくりながら、母はそのメニューにまつわる思い出も、次々に話してくれました。これはいつも失敗していたとか、生魚は、目が怖くて触れなかったとか。これは幼い私が好きだったとか。結局、今はこの本に付随する記憶が、何より大事なのでしょう。
いつかもっと年を取ったら、こんなことも忘れちゃうのかしら、とつぶやくので、それがないよ、と返しました。もう何度も聞かされている私が、内容をしっかり覚えているからです。料理はまだかなわないけれど、記憶力なら任せてというと、あなたは私より若いからね、と笑われました。

絵本の時代を超えて

絵本の時代を超えて

先日、図書館に行きました。その日はちょうど読み聞かせのイベントがあったらしく、児童書が並ぶ部屋には、幼稚園児よりも小さな子たちがいっぱい。絵本の内容がわかるのかな、という月齢の子まで、カーペットの上に寝転んでいます。もしかしたら、その子のお兄ちゃんやお姉ちゃんが、一緒にいるのかしら。大人の私は部屋に入ることはしませんでしたが、外から眺めているだけでも、とても微笑ましい気持ちになりました。
それにしても、司書さんは朗読がお上手ですね。わずかに聞こえてきた声には、見事感情がこもっていました。登場人物によって声音も違うので、あれなら子供が引きこまれてしまうのも無理はないでしょう。赤ちゃんですら、声のする方に顔を向けていましたよ。ちなみにお母さん方は、にこにこと自分の子を見ていました。中には時々、耳打ちしている方も。そうすると子供がけたけたと笑うので、それがまたかわいかったですね。そういえば、自分は昔、保育所の先生が読んでくれる紙芝居が大好きだったと、思いだしました。
今はテレビも動画もあるけれど、やはり皆、絵本を愛読する時代を通るのですよね。その楽しみを忘れずに、大きくなっても、読書をする人になってほしいと思います。