父と娘の読書事情

父と娘の読書事情

知り合いに書店の娘さんがいます。遠い昔の子供の頃、毎日たくさんの本に囲まれていられて羨ましいと言ったところ「本は大っ嫌い」としかめっ面が返ってきました。小説一冊、完読したことはないそうです。どうして嫌いなのと聞いても、明確な答えは得られず。でも大人になってから教えてくれました。「だってお父さん、毎日本ばっか読んでいたんだもの」小さい彼女は相手にしてもらえなくて寂しかったのでしょうね。今聞けば、なんともかわいらしいエピソードです。
そういえば、私も昔は父の前で大騒ぎしたものでした。「そんなのばっか見てないで、どこか行こうよ」と、手の中の文庫本を奪い去ったこともあります。たくさんの漢字と小さな文字がいっぱいでいかにも難しそうだったその作品。当時流行りのサスペンス……というのを知ったのは数年後ですが、ずいぶん怒られましたね。うるさい静かにしろ、宿題でもしてろ。いやはや、父親というのも大変です。
ちなみに書店の彼女は、その後読書の虫になりました。反抗期で父親と会話をしなくなったら、どうでもよくなったとのこと。でも今はお互いいい年なので、その年代は脱しています。今は二人並んで、読書兼晩酌タイムをすごすようですよ。本当に、お父さんも大変です。

Comments are closed.